友達の病気

友達にもいろいろありますが、この人は近所の方で、私の美容室の長年のお客様です。そしてお姑さんが裏の畑でコマコマと少しづつ野菜を栽培しています。自分の家で使う物は何でもあるみたいです。野菜が食べられるようになると私に大量ではありませんが持って来てくれます。片方の膝が痛いから私に電話してきて、取りに来て！と言う時もありますが、大抵の時は私の家の前に午後１時に来る移動販売の魚屋さんに来る時ついでに持って来てくれます。すぐ傍に大型のスーパーもありますが、年寄り家庭が増えて買い物が不自由になった人達には大変喜ばれます。魚も一箱で氷をいっぱい入れて昔のように持って来ます。スーパーのようにパック詰めではありません。新鮮ですしね。その外、大型のバスなので何でもあります。小さなスーパーみたいです。携帯に電話をしてきて配達して貰うお年寄りもいます。今の車は新車ですが冷蔵庫や冷凍庫も完備されて、国が補助してくれたのだそうです。今話題の買い物難民の為になりますから。この移動販売車を私と彼女は毎日利用しているのです。大型のスーパーに行けば私は買物がヘタで多く買い過ぎてしまいます。だからある中からしか選べないこの販売車を重宝しています。彼女もそうです。一日も来ない日はありませんでした。それが８月の１３日のお盆の日、墓地で旦那様と一緒にお墓参りをしている彼女を見たきりずっと先日まで見ませんでした。魚屋さんに来ないし、野菜も持って来てくれない、そして誰に聞いても最近見ないね！と言います。お盆の二日後のあたり、髪が長くなったからカットして、と美容室に来ました。今年の青森は異常に暑かったから、切るほど長くなっていない彼女の暑いし！と言う言葉にも何の違和感も持ちませんでした。それから私はプッツリと彼女を見なくなったのです。もっと親しくしている親友と思われている人に聞いても分りません。５年程前、彼女は何処かを手術してその後、髪が抜け、眉やまつげも抜けてしまった事がありました。どうしたの？とは聞けませんでした。いろいろ話は伝わって、今回も極秘に入院していた事が分りました。前に入院した時に子宮ガンを手術して効ガン剤の治療をした事、今回は頭が痛いから検査したら、前のガンが体中に転移して頭の脳の中にも２個の悪性の腫瘍があり、放射線をかけて治療していた事、とてもビックリしました。まだ５９歳です。親戚の人の話ではもう長くはないのだそうです。でも退院したら早速、私にブロッコリーを持って来てくれました。家のお婆ちゃんさ～　私の居ない間、出来た野菜をみんな捨てていたんだって、と言う彼女の顔は白く浮腫んでいるように見えました。