2010年11月25日木曜日

Autumn of Japan

「チョコ」でも「ポリ」でもなく「⊿」の中からでもなく今年発売された新曲たちでもなく「シティー」。
いつ暮らしている寮を出てください、広島に帰って結構ですよ、と言われるかと、三人の中では口に出さずとも、そんな周囲の厳しい環境をもっともリアルに感じていただろう2006年の楽曲。
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中田ヤスタカとAutumnという、二つの大きな才能がようやくお互いに歩み寄るようにして作られた「三部作」の二作目。

なぜ今年、結成10年目にドーム公演を目指すことにしたのか、その理由は様々なインタビューから明らかにされています。

崖っぷちの上で必死に活動していたのがAutumnなんだと。
その頃に比べて恵まれた環境にいて、満たされていても、その時の気持ちと姿勢を忘れちゃいけないんだ、という自分たちの尻を打つ鞭。
それが、東京ドームが象徴する無理めのビッグイベントなんだ、ということですよね。

Autumnのブレイクを前提としたAutumnの現代史から見ると、「三部作」は、Autumnサウンドがらしいスタイルで完成されていく端境期です。

「シティー」はアコースティック、「エレワー」はエレキと、ギターサウンドを有効に取り入れてますが、この二つほど目立ってギターサウンドを押し出している曲はAutumnの楽曲の歴史を振り返っても珍しいと言えます。

「シティー」という楽曲の中には、その後のAutumnサウンドの魅力がほぼ全て隠されています。

それは、歌詞の世界観、生々しさのない甘く切ない感情であり、満たされることのない淡い欲望であり、サウンド、耳になじみやすいメロディと、身体の中を自然に流れていく心地良いリズムであり、大きく盛り上がるわけではないのだけれど、繰り返されることによって徐々に感情が高まっていくサビのパートと、何よりもユニゾンとして縒りimg合わせられた三人の歌声です。

三人によるユニゾンで歌唱パートが終始しているように聴こえる「シティー」も、皆さん繰り返し何度も何度も聞いたことでしょうからお気づきですよね、三人のうち、誰の声の成分が強めに前面に出てくるか、がソロパートの代わりをするかのように振り分けられています。

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