2010年10月28日木曜日

Ascetic garlic

ギョウジャニンニク(行者葫、学名:Allium victorialis subsp. platyphyllum)は、ネギ科APG植物分類体系より前の分類法ではユリ科ネギ属多年草。原種のA. victorialis L.はヨーロッパの高山に分布する[1]北海道や近畿以北の亜高山地帯針葉樹林、混合樹林帯の水湿地に群生しており、そのほとんどの繁殖地は国立公園などの自然保護区である。キトピロなどとも呼ばれる(後述)。長さ20~30cm、幅3~10cmの葉で強いニンニク臭を放ち、地下にラッキョウに似た鱗茎を持つ、葉は根生、扁平で下部は狭いさやとなる。初夏、花茎の頂端に、白色または淡紫色の小花を多数つける。種子のほかにも不定芽でも増殖する。生育速度が遅く播種から収穫までの生育期間が5年から7年と非常に長いことから、希少な山菜とされ、市場に出回っているものは少量にも関わらず高値で取引される傾向にある。
おおよそ、5月上旬から中旬頃の山菜として知られており、葉茎を主に食用として用いるが、しょうゆ漬けにして保存したり、生のままやおひたしギョウザ、卵焼きに混ぜるなどして食べる。茎の太さが 1cm程度でまだ葉の開かない状態のものが、味、香り共に濃く珍重される。特に軟白栽培した物が人気がある。
ニンニクよりもアリシンを豊富に含んでおり、抗菌作用ビタミンB1活性を持続させる効果があり、血小板凝集阻害活性のあるチオエーテル類も含むため、血圧の安定、視力の衰えを抑制する効果がある。成分を利用した健康食品も販売されている。ニンニクの成分に近いためか、食べたときの風味もニンニクに近く独特の臭いを持ち、極めて強い口臭を生じることがある。
アイヌ民族は春先に大量に採集し、乾燥保存して一年間利用していた。オハウ(汁物)の具としたり、ラタシケプ(和え物)に調理して食べる。さらにその独特の臭気は魔物を祓う力があるとされ、天然痘などの伝染病が流行した際は、村の入り口に掲げ、病魔の退散を願った。西洋の吸血鬼ニンニクを忌み嫌う逸話と相通じるものがあり、興味深い。
西洋でもラムソン(ワイルドガーリック又はベアラウフ・熊ネギ)と呼ばれる野生種の植物を食べる習慣があり、形や香りがよく似ていることから、これらをギョウジャニンニクとして紹介する場合がある。しかし、ラムソンズの学名は Allium ursinum で、ギョウジャニンニクと同じくネギ科ネギ属の植物だが別種である。

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